歯周病Q&A
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歯周病Q&A

歯周病の治療

何回も歯磨き指導を受けているのですが、ある程度磨けている(スコアが20%くらいだと言われました)のにもっと丁寧に磨くように、といわれています。自分でもこれくらいが限界だと思いますし、自分で磨くよりも治療をしていただいた方が早く治るのではないでしょうか?

歯周病の治療で最も大事なのは、歯科医院での処置(歯石の除去や手術)ではなく、日々歯に付着してしまうプラーク(歯垢)を、日常のブラッシングで、自分でしっかり除去することなのです。実は、「ブラッシング」というプラークを除去する行為は、歯周病治療の中心なのです。歯科医院で毎日プラークを除去してもらうのは無理ですので、患者さん自身が、正しいブラッシング方法を習得し、日常的に治療の一環としてプラークを除去する必要があります。一般的にはプラークコントロールレコードというスコアが20%未満になることを目指し、それが達成できてから歯石除去等の治療を行いますが、歯周病の程度、リスク、ブラッシングの状況等に応じて、目安の値(目標)は異なります。スコアがなかなか落ちない方は、多くの場合、歯間ブラシやフロスを毎日取り入れることで、またスコアが下がってくることが期待できます。
食事療法で糖尿病の悪化を防ぐのと同様に、患者さん自身によるブラッシングで歯周病の悪化を防ぎ、治癒に導きます。それが十分できてからでないと、残念ながら歯科医院での処置はあまり効果が出ないということになります。

歯ぐきの検査をするときや歯石を取るときにチクチクと痛いのですが、どうしてでしょうか。

歯ぐきの検査では、歯と歯肉の隙間に器具を挿入し溝の深さを測ることで、歯周病の状態を調べます。その際に、器具の先端が炎症を起こして敏感になっている歯肉に触れると違和感や痛みを感じてしまうことがあります。また歯肉に接している歯石を取り除く時にも、器具の先端が炎症を起こしている歯肉に触れるので違和感や痛みを感じることがあるのです。
痛みが強いようであれば、麻酔(スプレー式麻酔、注射式麻酔など)を用いる方法もありますので、遠慮なく歯科医師に相談して下さい。

歯石はどれくらいおきに歯科医院にとりに行ったらいいのでしょうか

通常は1年に3回~4回が良いと言われています。
実は、適切な歯磨きができていれば本来は歯石は付かないのですが、歯磨きの指導を受けても時間がたてば、その記憶が曖昧になり、歯磨きが疎かになりやすいのも事実です。また、歯石の付きやすさにも個人差があります。
かかりつけの歯科医師(歯科医院)を決めて、歯石のつきやすさを継続して診てもらえば、どのくらいの期間で定期健診を受ければよいか教えてもらえます。

歯石を取るときにレーザーを使うと痛くないと聞いたのですが、本当でしょうか?

歯石の中には歯の周囲のポケット深くまで入り込んでいるものがあります。その場合は普通、麻酔して歯石を取る必要がありますが、レーザーを用いると麻酔が少量ですむ、あるいは必要ない場合があります。またレーザー以外にも歯石を取る器具はいくつもあります。いずれの器具を用いても痛くなく歯石を取ることは可能でしょう。

検査の時にエックス線写真を10枚以上撮影したのですがそんなに枚数が必要なのでしょうか?

エックス線写真検査は、口内法と呼ばれる小さい部分を撮影する方法とパノラマエックス線写真と呼ばれる大きく1枚で撮影する方法とがあります。前者は、1本1本の歯や歯周組織(骨)の状態を詳細に知ることができる方法で、上下左右と前歯と奥歯をそれぞれ撮影しますので、10~14枚撮影することになります。後者は、顎関節を含めた上下の顎の骨の状態まで把握できます。被爆量についてはどちらの方法も問題はありません。

歯ぐきが腫れたときに歯科医院へ行くと、ポケットといわれる部分を洗って薬をくれます。それで腫れは治るのですが、数ヶ月たつとまた腫れてしまいます。どうしてでしょうか?

歯周ポケットは深くなると歯ブラシが届きにくく、ポケットの中の細菌を自分で清掃することは困難です。そこで歯科医院ではポケットの中を洗うことと抗生物質などの飲み薬で症状は軽減させます。
ところが、ポケットの中にはまだ細菌を含んでいる歯石が歯の根の部分に付着したまま残っています。これを放置すると歯周ポケットの中に細菌が繁殖することになり、炎症が進行するので、歯肉(歯ぐき)が再び腫れてくるのです。

入れ歯のばねがかかっている歯がぐらぐらしてきたので、歯科医院に行ったら歯の周りの骨がなくなったと言われました。これも歯周病のせいでしょうか。

入れ歯のばねがかかっている歯は他の歯よりも負担が大きいので、入れ歯が合わない状態で長い間使用していると、ばねがかかっている歯に横揺れの力がかかり続け、その結果、歯を支えている骨が吸収されることがあります。また、ばねのかかっている歯は、プラークがつきやすいことやかみ合わせの負担が過度にかかることから、歯周病の進行リスクが高くなり、もともと歯周病がある人の場合はさらに骨の吸収が進行します。

自分の歯を残してもらいたいので歯科医院に行ったのですが、抜いた方が良いと言われました。歯周病の治療をしても自分の歯が残らないのでしょうか。

歯を残してもらうために歯科にかかったのに、抜くことを勧められてがっかりされたことでしょう。歯周病の治療によって、歯肉(歯ぐき)の炎症をほとんどなくすことができれば、歯周病の進行はほぼ止まります。ところが、来院していただいた時点で、歯周病が進行しすぎていて歯を支える中心となる骨が少なくなっている、あるいは全くなくなっている場合には、治療をしても往々にして歯の動揺(グラグラ)が残り、しっかりと噛むことができませんし、自然に歯が抜け落ちてしまうこともあります。また、動揺する歯には歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目の細菌のたまり場)が再発しやすく、集まった細菌が血の中に入り込んで全身疾患(生活習慣病など)に悪影響を与えてしまう危険性も大きいのです。担当の先生は全身の健康まで見通して歯を残すことが難しいと診断し、あえて抜くことを勧めてくださっているようにお見受けします。どうか今後とも健康生活のパートナーとしておつきあいいただけたら幸いです。

重度の歯周病にかかっていると診断されました。早期に抜いた方が良いといわれたのですが、なんとか歯を残せないのでしょうか。

歯周病が進行しすぎたために残すことが難しくなった歯を、無理していつまでも残しておくと、隣の歯を支えている骨に悪影響が出たり、抜く時期を引き伸ばした歯を抜歯した後に、土手の骨の形が悪くなって、その後のインプラント治療や、入れ歯治療に不利になります。また、骨髄炎という顎の骨全体の炎症を生じることもあるので注意が必要です。歯を残せる可能性が本当にないのかを確認したい場合は、(同じく抜歯が必要と言われる可能性は高いですが)歯周病専門医に相談することも良いでしょう。

歯周病の治療で歯石をとったら歯ぐきが下がってすき間が開いてきました。それに食べ物がはさまったり、息が抜けてしゃべりにくくなったりしています。どうしてでしょうか。またどうしたらいいのでしょうか。

歯石を取った後に歯肉(歯ぐき)が下がったのは、歯の間を塞いでいた歯石を除去したことや、炎症がおさまり歯肉の腫れがひいたことが理由です。それは、ブラッシングや歯科医院での治療の効果が出てきている状態と言えます。しかし、すき間が開くと、結果的に食べ物がはさまりやすくなったり、息が抜けて話しにくくなるのも事実です。食べ物がはさまるのはある程度は加齢による自然なものといえますが、挟まったままですと、これが原因でプラークが蓄積して歯周病が再発してしまいますので、きちんと歯ブラシや歯間ブラシで挟まったものと同時にプラークを除去しなくてはなりません。また、息が抜けるのはある程度仕方ないことといえますが、このような症状が気になり、無くしたいのであれば、すき間の開いた歯にそれぞれ金属やセラミック(白い歯)のかぶせ物をすることにより対処できます。しかしこの場合、歯を削る必要がありますので、歯科医師によく相談してください。

歯周病の治療で歯石をとった後に歯がしみるようになりました。どうしてこのような症状がでるのでしょうか。治りますか。

歯石は、歯周病の原因にもなる細菌性プラークがくっつきやすいものであるため、歯石を除去することは重要です(歯周病の基本的な治療)。しかし、歯石は、歯科医師または歯科衛生士でなければとれないほど歯(主に歯根の表面)に強固に付着しています。歯石をとることによって,歯石でカバーされていた歯根が露出することがあります。また、歯肉が腫れている場合(腫れている自覚症状がないことも珍しくありません)には、歯石をとることにより、炎症が消失して歯肉の腫れで隠れていた歯の根の部分が露出してきます。このようなことから、冷たいものなどの刺激が伝わりやすい状況に急に変化するため、歯石をとったあとに歯がしみることがしばしば見られます。通常は、一時的な症状ですので正しいブラッシングを継続していれば徐々に改善してきます(数ヶ月かかる場合もあります)。症状がかなりひどい場合には、歯の表面に知覚過敏に対する薬を塗布する等の処置を行う場合もあります。

歯周病の歯肉を外科手術すると言われたのですが、怖いです。実際にはどのような治療で、時間はどれくらいかかるのでしょうか。またその後、どうなるのでしょうか。

歯周病に対する外科手術には、目的に応じて歯の周囲にあるポケットを除去するもの、歯を支えている骨を再生させるもの、歯を磨きやすいように歯肉や粘膜の形を変えるもの、増殖した歯肉を切除するものなどがあります。 外科手術に必要な時間は治療対象となる歯の本数にもよりますが約1~2時間かかります。全身麻酔ではなく、局所麻酔のみで行うのが一般的で、手術後は、縫合して、ケースによっては包帯し、入院は必要ありません。1週間後に縫合と包帯を除去し、経過を1~数ヶ月経過を追います。
大きな手術とは違い、小手術にあたるものですので怖がる必要はありません。手術の内容を担当医に聞いて、よく相談して下さい。

歯周病の再生治療はどの程度、歯ぐきや骨(歯槽骨)が再生するのでしょうか。

再生治療が適応となる状態(ケース)では、歯ぐきの付着が回復するとともに、失った歯槽骨も9割〜半分程度回復することが期待できます。一般的には中等度の歯周病が対象となりますが、再生治療の適応となるケースが限られます。主に、ご自身の歯の歯槽骨がくさび状に溶けてしまった状態が再生治療の対象になります。また、患者さんの年齢や体力、免疫力、御自身による歯磨きなどの努力により再生量は大きく左右されます。

歯周病の再生治療はどのくらいの期間で再生するのでしょうか

歯周組織の再生は再生治療直後より始まります。歯ぐきの傷が治って(見かけ上の治癒)からも歯周組織の再生は数年間継続します。また、骨(歯槽骨)はゆっくりと再生し続け、完全に成熟するに2年以上はかかります。
そのため、再生してくる歯周組織をたくさん得ようとするには、手術後に歯科医師の指示に従って適切なプラークコントロールを開始し、術後数ヶ月経っても、徹底したプラークコントロールと厳密なメインテナンスプログラムを継続することがカギとなります。

現在行われている歯周病の再生療法はどれくらい費用がかかりますか?

歯周病の再生療法には現在、保険診療で行えるものと、自由診療で行えるものがあります。保険診療で行えるものとしては、2008年から組織誘導再生(GTR)法の一部が保険適用となっています。また、2016年には、歯周組織再生用に開発された医薬品を使用する方法が新たに登場し、保険適用となりました。また、自由診療として行う方法もありますので、詳細については、お近くの大学病院や専門医のいる歯科医院にご相談下さい。

金属(あるいはポーセレン)のかぶせ物の歯を10年前に入れたのですが、最近少し動く感じがしたので歯科医院に受診すると歯と入れた金属のかぶせ物の歯が合わなくなったため歯周病にかかったと言われました。外側の金属は減ることはないと思いますが、どうして歯周病にかかってしまったのでしょうか?

一般的に人工のかぶせ物や詰め物を入れた歯は、どんなに適合が良くても入れてからの手入れが悪くなると歯と人工物との境目にプラークが溜まり、歯周病が起こってきます。「歯と入れた金属の歯が合わなくなったため」というお話から推察すると、10年間使用し自分の歯(天然歯)だけがわずかにすり減った結果、人工のかぶせ物と自分の歯の境界に段差ができてしまい、プラークが溜まりやすくなって歯周病が起こった可能性があります。あるいは、自分の歯とかぶせ物で咬みあう歯どうしの接触強さに違いが生じたのかもしれません(参照:Q噛み合わせが悪いと歯周病の原因になるのでしょうか)。いずれにしても、人工物を入れる等の治療を受けた歯は特に歯磨きに注意して、歯科医院でのメインテナンスが必要となります。

電動と普通の歯ブラシはどちらが歯周病にかかった歯にはよいのでしょうか?

歯周病は進行程度や患者様の年齢、お口の中の状況などで様々な違いがあり、一概に電動と普通の歯ブラシを決めることは困難です。そのため一般的には、微妙な力や動かし方のコントロールができる、普通の歯ブラシをまずは使用するのがよいでしょう。一方、電動歯ブラシはプラーク除去効果が高く、短時間で歯ブラシができるという特徴があります。しかし電動歯ブラシを誤った使用法で使うと、かえって歯肉を傷つけ、痛みを引き起こす可能性もあります。したがって、電動歯ブラシと普通の歯ブラシの選択とその使用法は、歯科医師や歯科衛生士にご相談のうえ決められることをお勧めします。

ルートプレーニングのように、歯を支えるうえで重要な役割を果たすセメント質を削る事は、骨の再生が見込めなくなるのではないでしょうか?歯根部分に付着した見えないプラークや歯石を取り除くのは、大変難易度が高い処置であるのに、その点の認定制度等はないと思います(衛生士であれば、新人でも行う可能性がある)。危険がある行為であるのに行う事が、推奨されているのでしょうか?

おっしゃるように、ルートプレーニングではスケーリングによって歯石が取り除かれた面を、更に滑沢で清潔な面と仕上げるために、健康なセメント質を意図的に削り取る場合があります。セメント質は非常に薄く、病的な(感染した)セメント質と健康なセメント質を肉眼や触診で区別することができないことから、病的なセメント質を削除する際に健康なセメント質も削り取らなければなりません。
しかしながら、骨の再生で重要な点は、セメント質ではありません。歯の周りには歯根膜と呼ばれる靭帯のような組織がありますが、その組織の中に、骨や歯根膜、セメント質を再生させる細胞が存在し、それらが骨を含めた歯周組織を再生させるのです。このような理由から、ご懸念されている「セメント質を削る事は、骨の再生が見込めなくなる」ことはありませんので、心配はいりません。また、汚染物質(病的なセメント質や歯石の取り残しなど)が歯の根の面にあると、歯根膜やセメント質、骨などは再生しませんので、慎重かつ丁寧に、汚染物質は取り除く必要があります。付け加えますと、歯周組織の再生は、清潔な象牙質面(セメント質が取り除かれた歯根部分)におこります。
「歯根部分に付着した見えない部分のプラークや歯石を取り除くのは、大変難易度が高い処置であるのに、その点の認定制度等はない(衛生士であれば、新人でも行う可能性がある)」とのご懸念について、確かにルートプレーニングは難しい処置ではあると思います。しかしながら、歯科治療自体が狭いお口の中で、時には見えにくいところを治療しますので、ルートプレーニングが特別に難易度が高く、すでに国家資格をもった歯科医師あるいは歯科衛生士が、更に研鑽し特別な資格を認定することが必要な技術ではないと考えます。ルートプレーニングを推奨するかしないかは、施術者がビギナーかベテランかで判断されるものではなく、必要か必要でないかで判断されるものと考えます。

糖尿病と歯周病との間には関係性が認められ、歯周病が治ると、血糖値コントロールが改善するという話を、糖尿病診断時の教育入院において聞きました。
これは歯周病という病気そのものが、体内の血糖値コントロールのメカニズムに重大な作用を及ぼして、その結果として血糖値コントロールが乱れている、という話なのか。
それとも、歯周病は、本人の体質もありますが、歯磨きの習慣、歯磨きの技術によって口腔内が清潔に保たれているかどうかが重要になるそうですので、大抵の人は、歯磨きした後であれば、極力、歯を汚したくないと考えるので、朝食後や昼食後であれば、次の食事まで間食しない、夕食であれば就寝するまで何も食べないなどして、間食が減ったり、また、口腔ケアが杜撰だったという事は、メンタル面で、食事管理もいい加減で、きちんとされていないという人も多いと考えられる事から、口腔内のケアをきちんとするようになる事で、食事管理の方もきちんと意識的にやるようになった結果、血糖値コントロールが改善した、という話なのか。
あるいはこのあたりのメカニズムは、まだ研究中等で、はっきりとした事はわかっていないのか。
どういう事なのでしょうか。

歯周病は感染症ですので、重度の歯周病を放置すると弱い感染刺激が持続します。この刺激が糖尿病の患者さんなどでは全身に波及してインスリンの働きを弱めるとされています。つまり、歯周病という病気そのものが、血糖コントロールに悪影響を与えているわけです。従って歯周病を治療すると血糖をコントロールするメカニズムが回復すると考えられています。ただし、すべての糖尿病の方に当てはまるわけではありません。多くは、重度の歯周病の方で、なおかつ、インスリン分泌能が保たれており、軽度の肥満のある場合において、歯周病治療の効果が出やすいことがわかっています。
尚、ご指摘のように、規則正しい生活習慣も食事・運動療法の効果を上げる一助となると思われますが、この効果があらわれるには時間がかかるのに対して、前述の歯周病治療の効果は治療後比較的短期間(3か月以内)に現れるので、両者は別物と考えられます。むしろ、後者の生活習慣の改善には大きな個人差があるので、効果があらわれるまでの時間も様々です。

現時点では、奥歯を抜歯する予定ですが、最近では、歯科治療においては、歯は極力残す、歯の神経は極力除去しない方向で行われているそうで、その理由は、抜歯や神経を除去する事が、身体の健康に少なからぬダメージを与える為だ、という事を知りました。
仮に、歯周病が体内の血糖値コントロールのメカニズムに重大な作用を及ぼし、血糖値コントロールが乱れるのだとしたら、その内容次第では、歯の存在や、歯の神経の存在も、何らかの形で血糖値コントロールのメカニズムに作用している可能性が考えられるという事ですよね。
抜歯行為によって歯がなくなってしまう事や、神経を除去してしまう事も、血糖値コントロールに影響を与えるのかどうか。
抜歯や神経の除去直後は、物を上手く食べられない事によって、血糖値コントロールが難しくなって、その事が原因で乱れる事は理解できますし、また、ネットで検索してみたところ、そのような話が沢山出てきました。
ですが、私がお聞きしたいポイントは、あくまでも、そこではなく、歯の存在、歯の神経の存在自体が、体内の血糖値コントロールのメカニズムに関係しているのかどうか、並びに、関係しているとしたら、抜歯や神経の除去によって、血糖値コントロールのメカニズムに影響が出て、血糖値が乱れやすくなる(高血糖になりやすくなる等)といった悪影響が出る可能性があるのか、という事です。

一般に抜歯や歯の神経の除去で血糖コントロールに影響が出るとは考えられておりません。むしろ、本来であれば抜歯しなければならないような歯であれば、歯の周囲にわたって感染が波及していると考えられることから、前項に記載したように感染を持続させる結果となってしまい、それが原因で血糖コントロールが悪化する可能性が考えられます。
歯の神経は神経組織だけではなく、血管も含みます。したがって歯の神経を除去すると歯に栄養が供給されなくなるので歯が脆くなります。その意味から一般論として神経は極力保存することが望まれますが、重度の虫歯で神経の保存が困難な場合などでは、除去しなければならないケースもあるため、よく見極める必要があります。なお、歯の神経と血糖コントロールの関連について直接因果関係を証明するデータはありません。(神経を抜いたことで、血糖のコントロールが悪くなったというデータはありません。)

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