歯周病Q&A
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歯周病Q&A

歯周病の予防

歯周病は何歳くらいから気をつければよいのでしょうか?

歯周病の主な原因は歯に付着するプラーク(細菌の塊:バイオフィルム;昔は「歯垢」と言われていた)です。このプラークを毎日取り除かないと、細菌の量が増えて歯周病は進行します。
厚労省の実態調査(平成28年)によると30代以上の3人に2人が歯周病です。気づくことなく10年以上かけて、ゆっくりと進んでいるのが歯周病の特徴ですので、歯周病にならないようにするには少なくとも10代後半~20代からの確実なプラークコントロールが必要ということになりますね。歯ブラシなどでブラッシングしてプラークを除去する習慣を、少なくとも永久歯が生えた頃からしっかりと定着できていないと、歯周病になってしまうと考えておきましょう。

予防のために歯科医院に通うメリットはどんなものがありますか?

痛みや違和感を感じなくても予防目的に歯科医院に通うメリットは大きいです。まず、虫歯や歯周病を初期の段階で発見しやすくなるため、治療にかかる時間とお金が節約できますし、痛み等の負担も軽減できます。また大きな問題が見つからなかった場合でも、個人に応じたブラッシング指導を受けたり、歯のクリーニングなどが受けら、歯のトラブルを未然に防げます。

歯ブラシだけのブラッシングでは不十分だといわれたのですが、本当でしょうか?

歯周病は歯と歯の間から進行することが多いのですが、歯と歯の間は歯ブラシだけでは磨ききれません。そのため、歯ブラシに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシの使用が必要です。歯周病が進行している場合やインプラントが入っている場合には、歯と歯の間が広くなっていることが多く、フロスよりも歯間ブラシが有効となります。いずれの場合も、使用方法を間違えると歯肉を傷つけたり、退縮させたりするので、歯科医院で自分に合ったブラッシング方法の指導を受ける事をお勧めします。

ブラッシングは食後すぐにしなければいけないのでしょうか。忙しいので毎食後すぐにブラッシングできないのですが。

食事の後はお口の中の細菌の活動性が高まるので毎食後すぐに歯磨きするのが理想的ですが、忙しいと毎食後すぐに歯磨きするのは難しいですね。少し時間があいても構わないので、できるだけ食後は細菌数を減らすために歯磨きしていただくと良いと思います。ただ、あまりにも雑な歯磨きを1日3回行っていても歯周病治療・予防の効果が低いと思いますので、寝る前の1回だけでも時間をかけて丁寧に歯磨きをして完全にプラークを取り除く事がとても大切です。

爪楊枝で食後に歯の間の汚れを取るのは良いのでしょうか?

爪楊枝で取ることができるのは、歯と歯の間に挟まった食べカス(食渣 しょくさ)であり、歯にくっついている細菌の塊(プラーク 細菌バイオフィルム)は取り除くことはできません。歯ぐきの炎症を引き起こす原因はプラークであり、歯と歯の間のプラークはデンタルフロスまたは歯間ブラシを使わないと、十分に取り除くことができません。
食事中や食後すぐに歯磨きができないときには、爪楊枝で食渣を取り除くことはよいでしょう。そのうえで、のちほどフロスや歯間ブラシといった歯間清掃用具を用いて清掃しましょう。
なお、爪楊枝は先端が尖っており歯ぐきを傷つけることも考えられますので十分に注意して使用してください。けっして歯間ブラシ代わりに使わないようにしてください。

歯磨剤は、何が良いのでしょうか?

歯ぐきの腫れ(炎症)を抑える薬効成分などが入っているものもありますが、基本的には歯磨剤の成分はどれも同じ様なものです。歯磨剤それ自体が歯肉炎と歯周炎に対して明らかに治療効果があるという訳ではなく、あくまで補助的な効果と考えて下さい。一番大事なのは、どの歯磨剤を使うかではなく、炎症の原因となっているプラークを取り除くように、丁寧なブラッシングで磨き残しを少なくすることです。

歯周病の予防に歯みがき粉はどれくらい効果があるのでしょうか?

歯磨き粉に入っている薬効成分には、殺菌成分、消炎成分、歯ぐきを健康にする成分などがありますが、ブラッシングの際にその成分が歯ぐきの中に十分に浸透できるかというと、そうではないかもしれません。残念ながら現時点において、日本で市販されている歯磨き粉等で、歯周炎の予防、治療に効果があるという十分なエビデンスが存在するものはありません。少しでも薬効成分を効かせるためには、ブラシがポケット内に届くことや、十分に細菌(プラーク)を取り除けていることが必要でしょう。大切なことはプラークをしっかりと除去するようにブラッシングすることです。

うがい薬は歯周病の予防に効果がありますか?

歯ぐきの炎症の原因であるプラークは、うがい薬だけでは除去はできません。殺菌作用があるものが多く、ブラッシングをきちんと行ったうえでうがい薬を使用すると補助的な効果が期待され、歯周病の治療・予防に役立つと考えられます。

どんな歯ブラシが良いのでしょうか?

ヘッドの大きさが小さく、毛の長さが短いものは奥歯にも届きやすく、歯周病治療・予防に適していると考えられますが、ひとりひとりのお口の状態は違いますので、万人に適した歯ブラシというのはありません。個々の患者さんの歯の並びや大きさ、歯肉の状態などにより、どのような大きさ、硬さの歯ブラシが適しているかや、どのような歯磨き法が適しているかは変わってきます。歯科医師、歯科衛生士に指導を受けて下さい。

歯周病の予防に何か良いサプリメントみたいなものはありますか?

現在お口の中の衛生状態を高める為のブラッシング補助製品は、歯磨剤をはじめ洗口剤、栄養補助食品など実に様々です。しかし結局のところお口の中のプラークを除去できていなければ、それらの効能を十分に得ることはできません。一番大事なのはしっかり行き届いた歯磨きです。

1度歯周病と検診で指摘されました。むし歯は無いと言われています。痛みもないし、食事するのに不都合もないので、歯医者さんに行く必要はないでしょうか?

歯周病は、初期や進行中に、痛みなどの自覚症状をほとんど伴いません。そのまま歯医者さんに行かずにいると、気付いた時にはさらに進行して重症化してしまい、治療に時間がかかったり、抜歯しなければならない可能性が高くなります。虫歯や痛みがなく、食事するのに不都合がなくても、可能な限り早めに治療されることをお奨めします。また、定期的に歯科医院に通院し、歯周病の検査を受け、常にご自身の歯周病の程度を把握して、早期の治療を継続することが、長く自分の歯で食事を楽しむことができるための最良の方法と言えます。

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